1960年代に製造された〈J.W.ベンソン〉の腕時計。全体的に使用感が極めて少ない、良いコンディションをキープした逸品です。

1940年代末に始まるスミスが手掛けたベンソンの腕時計は、その多くが伝統的にローマ数字をアワーマーカーに採用しています。こちらはその中でもインデックス部分を立体的に仕上げ、金メッキ処理された高級感溢れるデザインが魅力。細身のドーフィヌ針はスミスをはじめとする英国時計に好んで用いられるユニークなタイプで、ローマンインデックスのクラシカルな印象と絶妙にマッチしています。

ケースは英国屈指のウォッチケースメーカー〈デニソン〉社製。優美にして質実剛健なラウンドケースは、オーソドックスながら独特の曲線美を持った美しい仕上がりが特徴です。幸いにしてキズや摩耗を逃れ、文字盤も含めて製造当時の状態をほぼ残したグッドコンディション。クロームプレートケースでこれだけきれいな状態で見つかることは、奇跡的と言えます。

スミス製のベンソンの腕時計には、通常の15石ではなく16石の受け石を装備したハイエンドなムーブメントが搭載されます。スミスの代名詞とも言える英国製ムーブメントCAL.1215は15石がベースですが、こちらは美しい琉金仕上げや独特のブリッジデザインはそのままに、二番車に大きな受け石を追加した特別機。シリアルナンバーは24と、こちらも一般モデルとは異なる番号が入ります。耐震装置付きという点も魅力的です。