文字盤上に配された”SMITHS”のブランド名と誇らしげな王冠マーク、そして”DE LUXE”のモデル名。「デラックス」シリーズがおそらく〈スミス〉の腕時計の中で最も高い人気を誇るのは、そのデザインの豊富さもさることながら、信頼を寄せられる高い機能性にあるとも言われます。そしてその機能性を支えたのは英国製の自社ムーブメントでありました。 デラックスの中でも、特に人気の高い比較的初期の文字盤デザインを持つドレスウォッチがこちら。赤い矢をかたどったセンターセコンドのモチーフがアイコニックなモデルです。やや大振りなアラビア数字と楔形インデックスの組みデザインは、1950年代に流行したミッドセンチュリースタイル。加えて文字盤の内側にミニッツインデックスを配するスタイルは、1920年代のアール・デコ期に見られたもの。クラシックとモダンが見事に融合した普遍的なデザイン性を持つ、美しい腕時計です。 他のデラックスに比べ、ケースがやや大振りなのもこのモデルの特徴。優雅にして力強いラグデザインも魅力のひとつ。こちらの金無垢ケースを手掛けたのは、デニソン社と並んでスミスが数多く採用していた〈BWC(British Watch Case Ltd.)〉。”LONDON MADE”の刻印がトレードマークとして知られています。 ムーブメントはいわゆる”1215(トゥエルブフィフティーン)”の自社ムーブを搭載。優美な流線形のレイアウトや独特の粒金仕上げが美しいムーブメントですが、厚みがあり頑丈なパーツで構成される質実剛健な作りも見逃せません。