〈スミス〉のラインナップの中でも「デラックス」と人気を二分する、モダンなデザイン性が特徴的なラグジュアリーライン「アストラル」。1960年代以降見られたアストラルのバリエーションの拡大は、当時のモダンデザインへのニーズの高まりを反映したものでしょうか。 こちらのアストラルは、その中でも特筆に値する極めてユニークな個体。他のバリエーションを見ると、スモールセコンド・センターセコンド問わずケース、文字盤デザインに類似が見受けられるアストラル。この個体はデザイン性こそ似ているものの、そのディテールや仕上げが異なっています。 アラビア数字とクサビ形インデックスの組み合わせは、アストラルの定番。しかし、このアラビア数字はやや面長のデザインを採用しています。また、決定的に違うのがクサビ形インデックスの仕上げ。通常は2面カッティングとなる一方、こちらは3面カッティングに仕上げているのです。面の数がひとつ増えるだけでその存在感は増幅され、圧倒的な高級感の違いが生まれているのが分かります。 9金無垢のロイヤルゴールドを採用したケースも、同モデルでは希少なシリンダースタイル。特徴的なストレートラグも2面カッティング入り。いちいち手が込んでいます。細かい部分の違いが、決定的な差を生む好例。 ムーブメントは伝統の”1215(トゥエルブフィフティーン)”を継承する自社ムーブを搭載。優美な流線形のレイアウトや独特の粒金仕上げが美しいムーブメントですが、厚みがあり頑丈なパーツで構成される質実剛健な作り。耐震装置キフショックをテンプに装備している点も魅力的。