英国製腕時計の開発、量産に成功したことで知られる〈スミス〉。自社モデルは1953年のエドモンド・ヒラリー卿によるエベレスト初登頂の際に着用され、特にデニソン社が手掛けた堅牢なねじ込み式裏蓋を持つ、「アクアタイト」ケースを採用したエクスペディションモデルは、その最上級モデルに位置付けられています。 こちらはそれと全く同じスペックに加え、ケース全体に金無垢を用いた非常に贅沢なモデル。英国のジュエラー〈ガラード〉がスミスに製造を依頼したもので、当時の純正ウォッチボックスが付属します。 そもそもガラードはイギリスの由緒ある宝飾品店で、ヴィクトリア女王より「クラウン・ジュエラー」の称号を得て王冠の製造を担った英国王室御用達の宝石商でもあります。自社名を冠した腕時計は、その正統性を象徴するかのようなオーソドックスなデザインが多く、素朴で質実剛健な英国時計らしい佇まいを見ることが出来ます。 スミスが手掛けた腕時計の中でも最大サイズの部類に入り、肉厚なスクリューバックケースはドレスアップしたスーツスタイルに力負けしない存在感を生み出します。比重の重い金無垢はずっしりとした重量感があり、着用時の高揚感もまた隠れた魅力。 文字盤デザインは1950年代のスミスの腕時計に多く見られる伝統的なスタイルを踏襲しており、文字盤下部の誇らしげな ”MADE IN ENGLAND” のサインも同様。アワーマーカーの内側に配したミニッツインデックス、経年によって内側部分がきつね色に色付いた味わい深い風合いにも心惹かれます。 ムーブメントはスミスが手掛ける英国製を搭載していますが、15石の受け石を備えた通常のモデルを18石にアップデートしたハイグレードモデルを採用。当時のスミス製腕時計の中でも最高峰モデルと言える逸品です。