代々英国王室の王冠の製作を行ってきた「クラウンジュエラー」として知られる英国の宝飾品店〈ガラード〉。 ガラードは主にスイスの時計メーカーに自社ブランドの時計を別注していますが、特に段違いのコストを投入したハイエンドモデルとして知られるのが、英国製腕時計製造の雄〈スミス〉による別注製作となるこちらの一本。 ケースを手掛けるのは、英国が誇る高品質ケースメーカー〈デニソン〉社。こちらのねじ込み式のスクリューバックケースは「アクアタイトケース」と呼ばれ、デニソンケースの中でも特に人気の高い重厚感あふれる佇まい。中でもこの金無垢製ともなれば、その希少性と品質は最高峰です。 そして通常、偶数飛びアラビア数字と楔形インデックスにツートーンダイヤルという伝統のスタイルが用いられるこのモデルですが、こちらはそれとは全く異なる、アラビア全数字インデックスと細身のドーフィーヌ針に夜光塗料が盛られた異色のデザインが持ち味。夜光塗料を用いたミリタリーテイストを持つ金無垢のアクアタイトケースは、英国陸軍モデルを除き、エドモンド・ヒラリー卿がエベレスト登頂で着用した、あのスミス・デラックス以外にありません。 搭載するムーブメントはスミスが手掛けた英国製。しかし通常のスミスのムーブメントとは異なり、ガラードにのみ特別に提供されたスペシャルモデルが採用されています。ベースはスミス伝統のトゥエルブフィフティーン(CAL.1215)ながら、こちらは二番車とガンギ車の受け石にそれぞれ受け石を追加し、18石に増石されたハイエンドな仕様となっています。 このモデルは極めて希少であるとともに、通常金無垢のスミスは贈呈品として裏蓋に刻印を持つものが多い中、こちらは裏蓋にそうした刻印を持っていません。おそらく個人が小売店で購入したものと思われ、さらにその希少価値を高めています。ちなみに、このモデルのドレスバージョンとも言える個体もご紹介しています。そちらもぜひご覧ください。