〈スミス〉が手掛けた傑作モデル「デラックス」。中でもこちらは9Kの金無垢ケースを纏った、ドレスウォッチの永久定番とも言えるモデル。しかも当時の純正ボックスと保証書が付属する貴重なセットで、かつスミスオリジナルのピッグスキンベルトが装着されたまま。ベルトの状態からしても着用回数は極めて少なく、腕時計のコンディションはデッドストックに限りなく近い極上のコンディションをキープしています。おそらく大切に保管されていたものと思われます。 文字盤上に配された”SMITHS”のブランド名と誇らしげな王冠マーク、そして”DE LUXE”のモデル名。「デラックス」シリーズがおそらくスミスの腕時計の中で最も高い人気を誇るのは、そのデザインの豊富さもさることながら、信頼を寄せられる高い機能性にあるとも言われます。そしてその機能性を支えたのは英国製の自社ムーブメントでありました。 こちらは1962年に製造された個体です、スミスのデラックス・シリーズ晩年期にあたるこの時期のモデルは希少で、ロゴが50年代のものと比べてやや大振りなのが特徴。ケースシルエットはシリンダー形を採用し、32mmというスタンダードなサイズ感ながら線の細いベゼルによって文字盤の存在感が際立つ、スミスならではのスタイル。アラビア全数字インデックス、時分針ともにやや大振りとなり、特にドーフィヌ針のボリューム感のあるフォルムは、それまでのスミスには見られない新鮮な印象です。 こちらはオリジナルのボックスが付属しますが、その蓋の外側にはこの腕時計の裏蓋にも刻印されている贈答元の英国の自動車メーカー、〈モーリス・モータース〉のエンブレムが入る貴重なセットとなります。さらに極めて稀なのですが、おそらくこの腕時計をモーリス社から贈られたワッツ(D.J.WATTS)氏が、同時期会社から贈られたと思われる”MORRIS MOTORS ATHLETIC AND SOCIAL CLUB”(おそらくモーリス社の福利厚生施設)の会員カードまで付属するというレアパターン。 ムーブメントは伝統の”1215(トゥエルブフィフティーン)”を継承する自社ムーブを搭載。優美な流線形のレイアウトや独特の粒金仕上げが美しいムーブメントですが、厚みがあり頑丈なパーツで構成される質実剛健な作り。キフショックと呼ばれる花の形をした耐震装置を備えています。