唯一無二の英国製腕時計として知られる〈スミス〉。その名機「デラックス」の後継機として、1958年にリリースされたのがこの「インペリアル」シリーズです。こちらは1961年製でコンディションも非常に良好な個体で、裏蓋の刻印が示すようにスミス社が自社の従業員に自社の腕時計を贈ったとみられる稀有な例。 スミス伝統のキャリバー1215に大幅な改良を加え、19個の受け石を備えた新型ムーブメント、キャリバー0104を搭載した次世代機としてスミス晩年期の主力となりました。ロゴは筆記体に一新された一方、デラックスの冠されていた王冠ロゴはしっかりと継承されています。 ケースは英国高級腕時計に多く見られる9Kの金無垢製。こちらはそれまでのスミスに見られる薄いベゼルではなく、幅広のフラットベゼルに力強くシンプルなラグを持ち、ストイックな美しさを表現したケースデザインの逸品。やや大ぶりでボリューミーなケースフォルムは、バブルバックを思わせる丸みを帯びた裏蓋によって強調されています。 文字盤デザインは「デラックス」から継承された内側にミニッツレールを配したツートーンダイヤルに、アラビア偶数跳び数字とクサビ型インデックスのコンビネーション。大ぶりなドーフィヌ針も時代性を映すミッドセンチュリーパターンです。さらに秒針はスミスのアイコニックなレッドアロー付き。時代を経ても色褪せないスミスの魅力は、このように50年代の名機デラックスから60年代のインペリアルへとアップデートされてもスタイルを継承し続ける姿勢が雄弁に物語っています。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。手揉み加工を施したイタリアンシュリンクレザーを素材に使用しています。オイルをたっぷりと含んでいるためしなやかでしっとりとした質感があり、使い込むうちに味わいのある風合いとなります。 » "anonym" (BUTTERO / BURGUNDY)