文字盤にアーチ状に描かれる”WEST END WATCH CO.”と、その下に赤字で記された”LONGINES”のロゴ。言わずと知れた名門〈ロンジン〉が、知る人ぞ知るスイスの時計メーカー〈ウエストエンド・ウォッチカンパニー〉向けに製造した、いわゆるダブルネームの腕時計です。 ウエストエンド社の腕時計は主に英国領インド政府におけるシヴィルサーヴァント、つまり現地公務員向けに支給されており、ミリタリーユースも考慮した防水性・防塵性の高い堅牢なツーピースケースが採用されていることで知られたいますが、こちらはロンジンが得意とした、いわゆる「セイタケ」スタイルの肉厚なウォータープルーフケースを採用。裏蓋の"C.S.(I)”という刻印はその役職を意味する”Civil Service in India”の略となります。 現地に赴任する公務員と言っても、その多くは英国の貴族出身者が多数を占め、特に裕福な高級文官に支給されていたのが、ロンジンやオメガといった名門メーカーが手掛けたウエストエンドの腕時計だったと考えられています。こちらもそのポストを意識してか、アラビア全数字インデックスとともに、ブルースチールのリーフ針がホワイトダイヤルに映える品の良い文字盤デザインが特徴。文字盤外周のミニッツレールにも、ドットデザインが中心となる上品なアレンジが見られます。一方でケースはスクリューバックとパリス管ラグ、内部はムーブメントを包むショックアブゾーバーを装備する堅牢設計。高貴なルックスに頑丈なボディが備わった魅力的な仕上がりです。 ムーブメントはコンパクトで美しいオールドロンジンの傑作機、CAL.10.68Z(CAL.10L)を搭載。第二次世界大戦中の軍用時計にも採用され、その実力と完成度の高さは折り紙付き。耐震装置には受け石を爪で覆う特徴的なスタイルで知られる「ショックレジスト」を装備しているほか、青焼きされたブルースチールの美しいビスが印象的です。 採用したベルトは"anonym"の〈プエブロ〉。1000年以上も昔からイタリアに伝わる伝統のバケッタ製法をによるベジタブルタンドレザーで、革肌のワイルドな質感が特徴です。エイジングの美しさも定評があり、長く着用することでザラザラした表面は艶を帯び、色は濡れたような深い飴色に変化していきます。 »"anonym" OPEN-END LEATHER BELT (PUEBLO / BROWN)
» 特定商取引法に基づく表記 (返品など)