やや大ぶりなフルSSスクリューバックケースに、ミリタリーダイヤル。〈ジラール・ペルゴ〉が1940年代に手掛けた腕時計で、一見すると無骨なミリタリーウォッチという出で立ちですが、そこはやはり名門。随所に上品なディテールを鏤めることで、格調高く全体像をまとめている見事な逸品です。 まずはSSケース。そのフォルムはベゼルとラグがシームレスに一体化したフォルム。雲上ブランド〈パテック・フィリップ〉のアイコンのひとつ、ref.565と同じデザインを採用しています。ケースも33mmとほどよく存在感がある一方で、ベルトのラグ幅を16mmと細身の仕様となっているのもユニーク。18mmでは大味になりかねないサイズ感を、あえてドレッシーな16mmのラグ幅に設計する味付けは見事の一言です。 文字盤はインデックスにマスキングをし、ゴールドに磨き上げた下地をミラーフィニッシュのブラックダイヤルに描き出す下地出しと呼ばれる高度な技法を用いた、いわゆるブラックギルトダイヤル。ミリタリーウォッチを彷彿とさせながらも、時分針をクラシカルなロザンジュ形(菱形)にすることで一層ノーブルな印象に仕上げています。 搭載するムーブメントは、A.シルト社のエボーシュをベースとした耐震装置付きの手巻きモデル、Cal.27。いわゆるミリタリームーブメントとしてこれ以外にも実際のミリタリーウォッチで採用されており、タフな使用環境に対応する質実剛健な作りが魅力的です。