実力派ウォッチメーカー〈エテルナ〉が1930年代に手掛けた、極めてユニークなラウンドケースとブラックミラーダイヤルの腕時計。ドレスウォッチのようなデコラティブな佇まいの中に、どこか淡くミリタリーウォッチを思わせる無骨さを匂わせる独特の存在感。 ドレープ状に広がる二段のベゼルを持つラウンドケースは、33mmと当時の腕時計としては珍しく大振り。そのドレープスタイルのためかなり厚みを増したベゼルが放つ存在感は力強く、翻ってショートスタイルのラグデザインはどこかユーモラスな一面も覗かせます。 深く妖艶な黒の光沢持つ文字盤は、ゴールドに輝く下地出しのアラビア数字やレイルウェイ・インデックスといった数々の線の配置が強いコントラストを放ち、視認性とともに高級感際立つ美しい仕上がりが魅力的。中腹にボリュームを持つロザンジュと呼ばれる菱形の時分針も、実はケースのボリューム感とのバランスをとってこのスタイルが採用されています。その計算し尽くされたディテールは、エテルナという質実剛健なブランドを体現するかのよう。 搭載するCAL.520はエテルナが初めて紳士用腕時計のために開発したムーブメントで、1940年代の英国陸軍の腕時計にも採用された名機。細かく分割されたブリッジや随所に配されるスリットによりメンテナンス性の高い構造となっています。各部の受け石に配されるゴールドシャトンが追加されているのも見逃せません。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。英国の伝統的な製法で作られる堅牢なブライドルレザーを素材に使用し、ブラックのボディにブラックステッチを採用したオールブラック仕様です。表面に白く浮き出ているのは「ブルーム」と呼ばれるロウの成分で、使用するうちに徐々にブルームが取れ、美しい光沢が生まれます。