1940年代の〈アルピナ〉の腕時計。ほぼ未使用の状態で、まるで当時から現代にタイムスリップしてきたかのようなニューオールドストック(NOS)という奇跡的な一本です。 オールSS製のケースは、当然ながらノンポリッシュ。裏蓋のヘアライン仕上げや、シリンダースタイルならではのエッジィなデザインが当時のままの状態で楽しめます。直線的で線の細いデザイン性もシリンダーケースの特徴ですが、それと呼応するかのように繊細に仕上げられたアラビア数字や細身のバトン針といった文字盤のディテールがユニーク。 そして特に目を引くのが外周部と内周部とでカッパー×ブラックに仕上げられたツートーンダイヤル。ファッショナブルな色の組み合わせで、下地出しのゴールドレターが輝くブラックミラーダイヤル部分とのコントラストが非常に個性的です。 さらに特筆すべきは、これらが単なる塗り分けではなく、それぞれが別パーツに分かれて組み合わさってできている点。塗り分け以上に立体感が強調される非常に手の込んだスタイルですが、このような構造を持つ文字盤はフライトウォッチなどの回転ベゼル一体型の文字盤に見られるものの、ドレスウォッチにそれを持ち込むというデザイナーの発想に感服します。 搭載するムーブメントは、アルピナ謹製CAL.586。これぞアルピナと言わんばかりの肉厚にして流麗なブリッジとパーツ類がメンテナンス性の高さを物語ります。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。イタリア・トスカーナ地方の名革《ブッテーロ》を使用しています。深い経年変化も楽しめるほか、腕に馴染みやすくその着用感の良さも魅力的です。