モバードのラウンドモデルが入荷しています。 モバードは1881年にアシール・ディテシェイムによってスイスのラ・ショー・ド=フォンに設立された時計工房が始まり。自社一貫生産によるメンテナンスしやすい合理的なムーブメントを製造し、クロノグラフからシンプルな時計に至るまで、”ムーブメントのデパート”と称されるほど卓越した技術力を誇りました。とりわけアンティークでコアな人気があり、デザイン性に優れた腕時計が目立ちます。 こちらはモバードの三針モデルの傑作「アクヴァティック」。小振りなケースに武骨な文字盤デザインがこのモデルの特徴で、当時のスポーツモデルとして1935年からリリースを開始した、同社初の防水腕時計です。 このモデルはいくつかデザインのバリエーションを持ちますが、共通してフランソワ・ボーゲル(François Borgel)の特許による防水ケースが採用されています。ねじ込み式の裏蓋を外すと、"FB"のイニシャルと鍵のロゴマーク、スイスの特許番号の刻印が蓋の内側に見られます。内部は防塵製、耐磁性を高める軟鉄のインナーキャップが備えられ、いかにも丈夫そうな独特のデザインをしたラグなど、ハードな着用環境が想定された質実剛健な作りも魅力。 程よくエイジングした味わいのある文字盤には、くっきりとした存在感のあるアラビア全数字インデックスに加え、幾何学的な線の配置といったクラシックなデザインが見られます。小振りで控えめなルックスながら、芯のある実力派の一機、といったところでしょうか。 ムーブメントは出車式のセンターセコンドモデルのCAL.470を搭載。センターセコンド式はスモールセコンド式の次に登場したスタイルで、秒単位の細かい視認を必要とするスポーツや医療、軍用時計の分野で好まれました。スモールセコンドのムーブメントに歯車を追加することで中央に秒針を配置するため、「出車式」と呼ばれています。