1930年代製《オイスター・ウォッチ・カンパニー》の腕時計が入荷しています。 オイスター社は、1925年にスクリュー・ロック式のリューズと金属打ち出し成型のスクリューバックケースを備えた、いわゆる「オイスターケース」を開発したことで知られる英国の時計メーカー。この特許を知ったロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフが、オイスター社を特許を含めまとめて買収し、1926年に完全防水腕時計ケースとしてリリース。自社の代名詞にまで押し上げたことでも有名です。 金属の塊を削り出すことで生まれる厚手で質実剛健なステンレススチールケースや、独特のねじ込みリューズのシルエットなどは、すでにロレックスを彷彿とさせる王者の風格。シンプルなアラビア全数字インデックス、ブルースチールのバトン針、レイルウェイ・インデックスと、控えめながら英国らしい王道感のある文字盤デザインも、その後のロレックスの腕時計に息づいています。ボーイズサイズながら、確かな存在感を放つ魅力的な逸品。 ムーブメントはフォンテンメロン社の出車式センターセコンドモデルCAL.30-1を搭載。後にロレックスのディフュージョンブランド《チュードル》のメイン機CAL.59として使用されることになる名機です。 オイスター・ケースの重要性は、裏蓋内に刻まれた各国のパテントナンバーも物語っています。また、”OYSTER WATCH CO.”のほか、”R.W.C.LTD(ロレックス・ウォッチ・カンパニーLTD)”の刻印や、ロレックスを頂点とするグループ企業”SAR(ソサエティア・アノニム・ロレックス)”の名が併記されていることから、1940年代前半までそれぞれグループ傘下企業として存在していたことが推測されます。