1940年代の《スミス》の腕時計が入荷しています。 銀無垢のクッションケースが採用されたクラシックな逸品です。 英国製腕時計の雄として名高いスミス。時計メーカーとしての歴史は古く、1851年にさかのぼります。長く自動車や軍需製品の製造を中心としていた時期を経て、戦後民生用の時計、それも純英国製のムーブメントを搭載した腕時計を発表したのが、1947年のことでした。 ☞スミスの歴史についてはこちら こちらはそのスミスの腕時計の中でも特に古いモデル。ケース背面には”IMPERIAL CHEMICAL INDUSTRIES LTD."の刻印があり、勤続25年の社員に贈られたプレゼンテーション・ウォッチと思われます。1944年に贈呈された腕時計で、当時はスミスが腕時計のリリースを世間に公開する以前となる大変稀少な一本。このモデルのほとんどがインペリアル・ケミカル・インダストリー社の贈呈印を持つため、スミスが腕時計の一般販売を開始する以前、OEM専門で腕時計の製造を行っていたことを示唆する興味深い個体と言えます。 文字盤は初期のスミスの腕時計に特徴的な、控えめで可愛らしいフォントのアラビア全数字。ブルースチール製の時分針はごく細いバトン形で、インデックスデザインと絶妙にマッチしています。ケースは英国の《デニソン・ウォッチケース》社によるホールマーク入りの銀無垢製で、固定式のラグ部分も含めケース全体が銀無垢で作られた質実剛健な仕上がり。どこか奥ゆかしさが漂う独特の雰囲気は、この時期のスミスならではと言えます。 ムーブメントはスミス伝統の”1215（トゥエルブフィフティーン）”と呼ばれる自社製を搭載。ロンジンのムーブメントを思わせる、全体が粒金仕上げされたクラシックなムーブメントです。
