1940年代の《コルテベール》のミリタリーウォッチが入荷しています。 コルテベールは、1790年にアブラハム・ルイ・ジュイヤールがスイスのコルテベール(Cortébert)に開いた時計店から始まる非常に古い時計メーカーで、ムーブメントも含めて自社製造を行っていた「マニュファクチュール」と呼ばれる独立系のメーカーとしても知られています。 やや小振りなケースながら、可動式ラグのデザインと幾何学的なアール・デコスタイルの文字盤が印象的な一本。華奢な雰囲気と力強さが同居する不思議な存在感が持ち味で、ボンクリップ等のバンブーブレスと組み合わせると、よりラグジュアリーな雰囲気を楽しめます。 細線と太線が織りなすレイルウェイ・インデックスとセクターダイヤルのコンビネーションの文字盤デザインもインパクト大。力強いゴシック体のアラビア数字インデックスもさることながら、様々な意匠が見事に調和したデザイン性が秀逸です。そしてクラシックなブルースチールの時分針の存在感。品格を感じさせるアンティークウォッチの魅力が凝縮された逸品と言えます。 搭載するムーブメントCAL.581は、シンプルながら質実剛健。丁寧に面取りされたパーツや、各穴石に備えられた重厚なゴールドシャトンといった、高品位な作りが特徴的です。外装とは裏腹なちょっと地味な見た目ですが、実用性という目的を達成するのに十分な、ハイエンドに仕上げられた良い機械。 光と影、外見と中身の伴う優れた一本だと思います。