1960年代の《スミス》の腕時計が入荷しています。 ☞スミスの歴史についてはこちら ケース6時位置のボタンを押すと風防側が縦に開き、直接文字盤の突起や針を触って時刻を認識する、目の見えない人のために作られた腕時計です。直に指で触るため、コンディションに難のある個体が多い中、ケース・文字盤ともにここまでダメージの少ないものは非常に稀少。 頻繁に指で触れてもズレたり外れたりしないよう、時分針の軸周りは一般的な腕時計よりも固めに締められていますが、この部分も緩みやダメージはありません。摩耗したり欠損する個体が多い突起部分も、奇跡的に無事。 しかしながら、整然と並べられた突起や特異なシェイプの時分針は、単に用途以上のデザイン性を感じるのは私だけではないはず。また、この時計固有の意匠や構造だけにとどまらず、アラビア全数字やレイルウェイインデックスといったクラシックな意匠も絶妙な位置に配置され、腕時計として破綻のない端整なルックスに仕上がっているのが素晴らしい点です。 ムーブメントはいわゆる”1215(トゥエルブフィフティーン)”の英国製自社ムーブを搭載。流線形のレイアウトや粒金仕上げなど、質実剛健中に美しいシルエットを宿すスミスの傑作機で、スペックにおいても高水準を与えられている点も見逃せません。