1940年代の《ヴァーテックス》の腕時計が入荷しています。 英国軍の腕時計で知られるヴァーテックス。その歴史は古く、1853年に設立された《ヴァルデンブルク時計製造組合(Société d’ Horlogerie à Waldenburg)》が母体となります。1859年にゲデオン・トーメン(Gédéon Thommen)とルイ・チョップ(Louis Tschopp)が同組合を引き継ぎ、《トーメンSA》に改称。ムーブメントの製造からケーシングまでの作業を一貫して行う、いわゆるマニュファクチュールとして再出発を果たします。その後20世紀初頭、英国市場向けブランドとしてヴァーテックスがリリースされました。 ミリタリーウォッチ黎明期の象徴的なスタイルであったクッションシェイプは、後に紳士用ドレスウォッチの定番スタイルとして認知されました。ただしこちらはフラットベゼルという非常に希少な個体。上品でありながらどこか武骨な表情を内に潜めています。 そしてこのグラフィカルな文字盤デザインも、ユニークなクッションケースにお似合い。ゴシックのアラビア数字に加え、俗に「東京都ダイヤル」とも呼ばれるセクターダイヤルと一体化したレイルウェイ・インデックス、すこし内窪んだスモールセコンドにもクラシカルなデザイン性が光ります。ブルースチールのテーパードバトン針の上質な風合いも見事。 ムーブメントはCAL.56。ヴァーテックスのムーブメントを製造していたのは、母体を同じくするマニュファクチュール《レヴュー(REVUE)》社が製造しており、その質実剛健かつ合理的な作りが魅力的。 ☞その他の画像はこちら